寄居町富田の谷津地区には、中世から不動寺を中心とする八寺院がありました。その一つの可能性のある鷲丸山中の 伝旧不動寺跡とされる平場(ひらば)を調査したところ、丘陵の一部を削って平場を作り、 建物跡や庭などを配置していたことが分かりました。出土した常滑焼(とこなめやき)や 内耳鍋(ないじなべ)、美濃焼の皿などから室町時代後半の寺院跡と考えられます。
また、削り出した崖線に沿って掘られた溝は、二つの石組みの井戸を迂回し、丘陵の下の池に向かっていました。 建物から南を見ると、石組みの井戸や白い崖の向こうに、鷲丸山の荒涼とした山頂が見えたことでしょう。
遺跡遠景
建物跡
第2号井戸跡
伝旧不動寺跡:調査区全景