大山遺跡は、県東南部に発達した大宮台地の東北端に位置し、標高は14m程です。
本遺跡は、旧石器時代~平安時代の複合遺跡として知られており、また県内の数少ない製鉄遺跡としても有名です。発掘調査も昭和47年から断続的に実施されており、今回が第10次調査になります。 調査では、平安時代(9c~10c)の製鉄炉2基と炭焼窯3基が確認されました。
製鉄炉は、緩やかな斜面に造られた半地下式の竪形炉(たてがたろ)です。また、炉に空気を送るための鞴座(ふいござ)と思われる部分も検出されました。背後の谷部からは、多量の炉壁(ろへき)と鉄滓(てっさい)が出土しています。
炭焼窯は、製鉄炉から10mほど離れて見つかりました。前庭部から放射状に広がるもので、重複しているものも含めて3基が確認されています。製鉄には多量の炭を必要としますので、近くに炭焼窯を用意したものでしょう。
本遺跡は、現在調査中のため詳細は不明ですが、今後調査の進展に伴って全容が明らかになってくるものと期待されます。
遺跡の調査風景
1号製鉄炉(いわゆるハート形の炉のようです)
1号製鉄炉(数回の補修痕らしきものが観察されます)
1号製鉄炉(炉の奥壁に垂直に近い角度で取り付けられた羽口)
調査中の炭焼窯
炭焼窯の土層断面(炭と焼土層の数で操業回数が分かりそうです)