下田町遺跡は、荒川右岸の低地に広がる集落遺跡です。
荒川高規格堤防の建設に先立ち、昨年度に引き続いて発掘調査が行われています。
今年度は、古墳時代前期(今からおよそ1,700年前)から室町時代(今からおよそ600年前)まで数多くの遺構や遺物が発見されています。
主な遺構としては、古墳時代前期の方形周溝墓(ほうけいしゅうこうぼ)や古墳時代末~奈良時代の竪穴住居跡などがあり、溝や井戸跡が多いのもこの遺跡の特徴です。
遺物は、奈良・平安時代の土器を中心に大量に発見されており、なかには緑釉(りょくゆう)陶器・銅でできた帯金具(おびかなぐ)などの貴重品や、漆の椀・曲物(まげもの)などの木製品もあります。
また、注目される遺物として「占部豊川」と読める線刻(せんこく)のある紡錘車(ぼうすいしゃ)(糸をつむぐときに使う道具)があります。 詳しい調査はまだこれからになりますが、「占部(うらべ)」は人の姓と推定され、卜占(ぼくせん)(亀の甲羅や骨を使って行ううらない)やお祓(はら)いをつかさどった氏族と考えられています。
遺跡の調査風景
土器がたくさん捨てられていた溝(平安時代)
馬の骨が発見された溝(古墳時代末)
細い線刻文字のある紡錘車(左側上から「占部豊川」と読める)