【平成28年3月更新しました】 平成26年度の調査はこちら
栗橋宿跡第6地点は、JR宇都宮線栗橋駅の東約1㎞に位置しています。栗橋宿は、かつての日光道中(街道)では江戸から7番目の宿場にあたります。調査は利根川の堤防強化工事に伴って平成26年度から行っており、今年度は第2次調査になります。
現在、平成26年度に調査した第一面を重機で掘り下げ、第二面の調査を行っています。杭列や土壙、溝跡など多くの遺構を検出しています。
ジョレンを使って地面を慎重に削り、遺構の正確な形を確認しています。
土壙の中に溜まった土を少しずつ掘り下げて、埋まっている陶磁器や木製品などを掘り出します。
土壙からは多くの遺物が出土しました。陶磁器や瓦の破片、桶の部材が無造作に廃棄されていました。
【以下、平成27年7月更新】 -----------------------------------
調査区全体の様子が徐々に明らかになってきました。遺構の大半は土壙で、他に埋桶や溝跡などが検出されています。これまでに陶磁器片や漆器、木製品など多くの遺物が出土しました。
土壙から出土した漆器で、小皿と考えられます。赤と黒のコントラストも鮮やかに、植物の文様が描き出されています。
遺構の実測をしているところです。形や大きさ、土の堆積状況を図面に細かく記録していきます。
【以下、平成27年10月更新】 -----------------------------------
引き続き近世の調査を行っています。調査が進むにつれて、いくつもの土壙が重なり合っている状況が見えてきました。
土壙からは陶磁器や漆器のほか、櫛(写真中央)や下駄などの木製品が出土しており、当時の生活の様子がありありと見えてきます。
高さ10cm程度の土で作られた江戸時代の人形が出土しました。瓢箪(ひょうたん)を抱えて微笑んでいます。
【以下、平成27年12月更新】 -----------------------------------
現在までの調査で、近世の土壙が約100基検出され、陶磁器や木製品も大量に出土しました。
第6地点北側調査区の全景です。写真手前の杭列が土地を区画していることがわかります。また、写真奥側の区域では土壙が集中しています。ゴミ捨て場の役割があったのでしょうか。
江戸時代の井戸跡が3基検出されました。このうち写真の井戸は、底を抜いた桶を逆さにして3段重ねたものを、井戸枠としていました。
【以下、平成28年1月更新】 -----------------------------------
調査区内を通っていた道路部分の調査を行っています。幕末から明治期と考えられる第一面の調査は完了し、第二面の調査を進めています。
道路部分の第一面では建物跡や井戸跡、埋桶(うめおけ)などが見つかりました。写真の手前、木材と石が点々と方形に並んでいるところが、幕末から明治頃の建物跡です。
この部分は道路になる以前に、宅地として利用されていました。
1m弱ほどの深さの穴に、厚い板材に釘打ちして作られた箱形の構造物が見つかりました。配置から建物跡に伴うと考えられ、穴蔵(あなぐら=地下倉庫)等の可能性があります。
【以下、平成28年3月更新】 -----------------------------------
3月で発掘調査は終了しました。近世の遺構面(第二面)からは土壙などが数多く検出され、瓦、陶磁器、木製品などが出土しました。
調査区全体は、北側(写真手前側)に土壙などの遺構が多く見られ、南側(写真奥側)は対照的に遺構が僅少でした。土地の利用法が異なっていたと考えられます。
幕末から明治期の遺構面(第一面)で既に発見されていた穴蔵(あなぐら)の周囲を掘り下げました。それぞれの側板は、一枚ではなく、細い板を釘で繋ぎ合わせて出来ていることがわかりました。