EXCAVATION RESULTS発掘成果

【355集】大木戸遺跡Ⅰ

大木戸遺跡Ⅰ

市町村さいたま市

主な時代旧石器~弥生・近世

発行年度2008

大木戸遺跡は大宮台地の西縁、滝沼川左岸の台地上に立地している。大木戸遺跡の調査は、一般国道16号バイパスの建設に伴いさいたま市(当時大宮市)が発掘調査を実施し、西大宮バイパス№6遺跡として報告書が刊行されている。その後、大宮西部特定土地区画整理事業に伴い、当事業団が平成12年度から継続的に発掘調査を実施してきた。本書は、第2~5次調査の報告でる。
大木戸遺跡は、旧石器時代から近世にかけての複合遺跡である。
旧石器時代は大宮台地で発見例が少ない古段階の石器群が出土した。近接する清河寺前原遺跡からも古段階の石器集中が検出されており、大宮台地で最初に人が住み始めた地域の一つである。
縄文時代は、中期末葉から後期初頭と後期の集落跡が調査された。広範に住居跡が検出され、柄鏡形住居跡が多く見つかっている。1軒は台地部では珍しい敷石住居跡である。住居跡の床面に大きく扁平な片岩が敷いてあった。石材は荒川上流域から運ばれたと思われる。荒川とその支流の滝沼川を利用した広域での物の交流があったことが窺える。
弥生時代は調査区の北西部から、後期の住居跡が11軒まとまって検出された。大木戸遺跡全域には広がっておらず、小さな集落であったと思われる。遺構の遺存状況は、耕作等の削平によって良好ではなかったが、第4-2号住居跡から一括廃棄されたと思われる土器群が出土している。
近世は、江戸時代の掘立柱建物跡群が3箇所見つかっている。

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