EXCAVATION RESULTS発掘成果
【363集】古里古墳群駒込支群

市町村嵐山町
主な時代古墳・近世
発行年度2009
古里古墳群は6世紀前葉から7世紀前葉にかけて形成された古墳群である。比企丘陵の北東端に位置し、丘陵斜面から丘陵裾にかけて古墳が分布している。古墳群は、全部で11の支群に分別して呼称されており、今回発掘対象となった駒込支群は、その中でも最大規模の支群である。これまでに26基の円墳の存在が確認されていたが、今回の発掘調査で新たに1基の円墳が発見され総数は27基となった。
発見された第27号墳からは、土師器や少量の埴輪片が出土しており、土師器の年代から築造時期は6世紀前葉と考えられるが、埴輪が樹立されたかについては判然としない。墳丘は現存しないため、現地表面からは古墳の存在を確認することはできず、主体部も既に失われているものと考えられる。
本古墳跡が現状では駒込支群の南および東端にあたり、これより東側は谷地形となっているため古墳は存在しない可能性が高い。そのため、支群の形成範囲を捉えるための重要な発見となった。
古墳跡のほかには、溝跡、土壙、ピットが検出された。これらの遺構は、共伴遺物もなく時期を明確にすることはできないが、調査区内からは寛永通寶や陶磁器片が出土していることから、近世以降の耕作に伴って構築された遺構群とも考えられる。
また、遺構は検出されなかったが、僅かに中期の縄文土器片が出土した。過去の調査時にも同様の時期に該当する土器片が出土していることから、周囲に縄文時代の集落跡などが存在している可能性がうかがわれる。