EXCAVATION RESULTS発掘成果

【365集】元宿遺跡

元宿遺跡

市町村川島町

主な時代古墳~近世

発行年度2009

元宿遺跡は、比企郡川島町の荒川右岸に所在する。川島町は旧流路と、それによって形成された自然堤防が明瞭に残されている地域で、町域には肥沃な水田地帯が広がる。遺跡はその内の一つの、旧流路に面した自然堤防上に立地している。この旧流路の対岸の自然堤防上には、富田後遺跡が存在している。今回の元宿遺跡の発掘調査において、縄文時代後期の土器が出土しており、元宿遺跡が立地している自然堤防は、この時期には既に存在していたことが判明した。途中、空白期間があるものの、古墳時代前期から中・近世におよぶ遺跡であり、さらには現代においても生活の場として続いている。古墳時代前期では、立地的に標高の低い部分に、建物跡と考えられる周溝状遺構が分布し、高い部分には方形周溝墓が分布している。後期では、高低に限らず掘立柱建物跡が存在するが、竪穴住居跡は高い部分にのみ存在する。中・近世では、遺構が調査区全体におよんでおり、集落としての拡大の結果と考えられる。この時期、元宿遺跡および周辺における集落域の拡大については、遺跡名のもととなっている「元宿」や、調査区付近の「三保谷宿」という地名にも表われていると考えられる。宿を示す遺構や遺物が明確ではないため、今回の発掘調査区が宿の一画に相当するか否かは判断できない。

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