EXCAVATION RESULTS発掘成果

【367集】宮町遺跡

宮町遺跡

市町村熊谷市

主な時代奈良・平安・中世・近世

発行年度2010

宮町遺跡は、熊谷市街地にあり、荒川新扇状地に形成された自然堤防上に立地している。さいたま地方・家庭裁判所熊谷支部庁舎新営工事に伴い、当事業団が平成21年度に発掘調査を実施した。本書はその報告である。
宮町遺跡は、奈良・平安時代と中・近世の複合遺跡である。
奈良・平安時代では24軒の竪穴住居跡のほか掘立柱建物跡、土壙などを調査した。本遺跡では竪穴住居跡が先行し、これに重複して四面庇付の掘立柱建物が建てられていた。この建物は、柱穴の覆土や周囲の状況から火災に遭ったと考えられる。建物跡周辺では、完存率の高い坏類が一括して廃棄された土壙を複数検出した。
これらの土壙は、覆土に焼土や炭化物が多量に含まれており、火事場の後片付けをした際に掘られたものと考えられる。掘立柱建物跡や土壙からは、須恵器や土師器のほかに緑釉陶器、灰釉陶器が多数出土した。また、一括廃棄された土壙からは「上家」の墨書土器が4点出土した。このほかに、墨書土器では、奈良時代の住居跡から「楊井」と書かれた坏が出土した。
中世の遺構は溝跡を調査した。断面形が薬研や箱薬研を呈し、青磁の破片が出土した。本遺跡に隣接して熊谷氏館跡があり、溝跡は熊谷氏館跡との関連が窺える。
近世の遺構は、井戸跡を2基調査した。

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