EXCAVATION RESULTS発掘成果
【368集】上早見新田西遺跡

市町村久喜市
主な時代縄文・近世
発行年度2010
上早見新田西遺跡は久喜市に所在している。久喜市は加須低地に属し、関東造盆地運動の影響を受けて市域全体が沈降しているため、現在、遺跡は台地裾部のおよそ標高9m前後の沖積地に存在している。
今回の調査では、縄文時代後期初頭の竪穴住居跡が5軒、後期初頭から後期前葉の土壙が13基、近世の溝跡2条が検出された。縄文時代の遺構からは、称名寺式土器が主に検出された。竪穴住居跡は、炉跡とピットのみが検出されたが、住居の掘り込みは確認されなかった。また、土壙のうち2基は袋状の形状を呈したもので、覆土からは多くの称名寺式土器が検出された。
遺跡の発見が困難な沖積土に覆われたローム台地において、縄文時代後期初頭の集落が検出されたことは、周辺地域の縄文時代の様相を知るうえで大きな成果と言える。