EXCAVATION RESULTS発掘成果

【377集】野中/癭ヶ谷戸

野中/癭ヶ谷戸

市町村美里町

主な時代縄文・古墳・中近世

発行年度2011

野中・癭ヶ谷戸両遺跡は、美里町の南東部大字猪俣に所在し、JR八高線松久駅から南へ約2㎞に位置する。秩父から北へ張り出す上武山地を背にした松久丘陵の東北端にあたり、標高は88~94ⅿである。両遺跡は、北西-南東に隣接する遺跡で、調査区も猪俣川沿いに連続して設定された。
野中遺跡は、古墳時代前期と奈良・平安時代を主体とする遺跡で、両時代の集落は、調査区中央の台地部分に小規模に営まれる。古墳時代前期で特筆すべきは、土器の廃棄を伴う祭祀的な遺構で、集落末端の第1号住居跡と、集落域を外れた低地部での遺物集中区が注目される。何れも装飾器台・高や東海系の土器など、特殊な遺物の存在が目立つ。また、奈良・平安時代では、住居跡から「古家」の墨書土器が出土しており興味深い。
癭ヶ谷戸遺跡は、基本的に南東の野中遺跡から続く低地帯で、縄文時代を主体とする遺跡である。調査区北半で検出された古い台地部分で土壙などが検出されたが、集落は確認できなかった。遺物は、縄文時代中期~後期の土器片が多量に出土したが、何れも磨滅著しく、丘陵上の集落から旧河川によって運ばれてきたものと思われる

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