EXCAVATION RESULTS発掘成果

【382集】城敷遺跡Ⅱ

城敷遺跡Ⅱ

市町村東松山市

主な時代古墳・中近世

発行年度2011

城敷遺跡は、埼玉県東松山市高坂に位置する。都幾川右岸の自然堤防上に立地し、標高は19m前後である。北側に隣接する銭塚遺跡とは、同一の遺跡と捉えられる。また東方約500mに所在する反町遺跡は有機的な関連をもっていた遺跡で、城敷・銭塚・反町の3遺跡でひとつの遺跡群が構成されていたと考えられる。
城敷遺跡は、古墳時代前期と古墳時代中期後半~古墳時代後期初頭の二つの時期に栄えた集落である。集落の中を大溝(河川流路)が蛇行して流れており、大溝には、堰状施設や護岸施設によって水位や流路を制御し、水辺に昇降するための階段状施設などが設けられていた。大溝内からは、多量の土器や木製品とともに祭祀の跡も発見され、集落と大溝が一体となって機能していたことが判明した。出土した木製の農具は、日常的に木の道具が使われていたことを伝えている。また、重厚な扉板や建築部材が数多く発見され、大規模な建造物の存在を予想させる。
特筆されるのは、古墳時代中期後半以降の集落に伴う、2箇所の滑石製品集中地点が発見されたことである。剣形品・有孔円板・臼玉とともに、未成品や製作途上の欠損品・剥片が2,000点以上も発見されている。また、8軒の住居跡からも同様の製作途上の欠損品・剥片が多数出土しており、この時期の滑石製品の工房跡として重要な例と言える。
古墳時代の土器には、陶邑産と東海産と推定される初期須恵器が多く含まれている。中には、破砕されたような状態で出土したものがあり、何らかの儀式に用いられたと考えられる。

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