EXCAVATION RESULTS発掘成果

【387集】番戸遺跡

番戸遺跡

市町村長瀞町

主な時代縄文・古墳・奈良・平安・中近世

発行年度2012

番戸遺跡は荒川が北流から東流に変わる流向の変換点よりやや下流側の、右岸河岸段丘上に位置する。縄文時代については、中期加曽利EIII式、後期加曽利B式などの上器片や同時期と考えられる石器が僅かに出土したが、遺構は検出できなかった。古墳時代については、住居跡が1軒検出された。当該期の集落は、より荒川に近い調査区よりも北側に展開していると考えられる。平安時代の遺構は、竪穴住居跡が3軒、土堀が3碁検出された。竪穴住居跡からの出土遺物は少なかったが、土堀からの出土遺物の中には、墨書土器が見られた。当該地域は岩田の牧に比定する説もあることから、同時代の遺物が検出されたことの意義は大きい。中近世については、16世紀代の日常雑器の破片が一括投棄された土壊が検出されており、当該地域が藤田氏の支配にかかる時期の遺物である。火災にあって移転したと伝承されている道光寺については、調査区西端で検出された溝と、3区4区境界の溝が、その区画に該当すると考えられる。火災前と考えられる18世紀以前の土堀やピットが4区から集中的に検出されており、現在の道光寺から見て道路の反対側である南側に旧道光寺があったことは間違いないであろう。また、18世紀半ばに立て直された道光寺の時期に該当する遺構としては、2区から3区にかけて検出された竪穴状遺構4碁があげられる。この中の1基からは火縄銃の玉も検出されている。

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