EXCAVATION RESULTS発掘成果
【392集】大山遺跡第12次
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市町村伊奈町
主な時代古墳・奈良・平安
発行年度2012
大山遺跡は、奈良•平安時代における製鉄遺跡として全国的にも著名な遺跡です。これまでに製鉄炉19珪、炭焼窯跡3馳、エ人集落の竪穴住居跡などが調査されています。今回の発掘調査では、さらに製鉄炉9晶、鍛冶工房跡3軒、粘土採掘坑跡3箇所、廃滓場5箇所が検出されました。大山遺跡では、奈良時代初期に円筒形の竪形炉による鉄生産が開始され、原料の砂鉄と燃料の木炭を燃焼させ還元作用によって鉄を生産していました。今回検出された製鉄炉は、西向きの斜面を切り崩し3m四方の平坦な作業場を造り出して構築され、斜面の上部には送風施設である踏み輪が設置されています。生産された鉄は、鍛冶下房で鉄製品に加工されていました。操業に伴い排出される鉄滓や炉壁などの大量の廃棄物は、斜面の谷部に捨てられていました。大山遺跡では、元荒川や綾瀬川などで砂鉄を採取し、半径5キロ圏内で発見された数多くの炭焼き窯の炭を用いていたようです。今回の調査で武蔵国足立郡稲置郷に比定される地域を中心とした古代鉄生産の様相が明らかになってきました。