EXCAVATION RESULTS発掘成果

【397集】立原小路遺跡

立原小路遺跡

市町村寄居町

主な時代縄文・近世

発行年度2012

立原小路遺跡は、寄居町立原の荒川右岸に形成された標高120~125mの河岸段丘上に位置する。調査では、縄文時代の敷石住居跡の出現を考えるうえで、貴重な資料を得ることができた。検出された住居跡は、石囲い炉を中心として結晶片岩の板状石材を利用し敷設された円形の敷石住居跡である。出土した土器から縄文時代中期後半(約4200年前)の加曾利EⅢ式期の時期と考えられる。一般的に敷石住居跡は柄鏡形をしていて、その出現は縄文時代後期と考えられていることから、本例は県内で最も古い時期の事例である。この円形の敷石住居跡の出現背景には、長野県や群馬県地域に同様の敷石住居跡が確認されていることから、埼玉県と長野・群馬県地域の交流が窺える。近世の遺構は、土壙と溝跡、井戸跡を検出した。溝跡は現道と並行した位置で検出されていることから、先行する道路の側溝跡と考えられる。また、井戸跡は石組み構造で常滑の急須蓋が出土した。これらの資料は、この地域の生活や歴史を知る貴重な手掛かりとなる。

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