EXCAVATION RESULTS発掘成果
【399集】氷川神社遺跡Ⅱ

市町村川越市
主な時代古墳・近世~近代
発行年度2013
氷川神社遺跡は、川越市宮下町にあり、武蔵野台地北端の川越台と呼ばれる台地上に位置する。標高は14.5mである。調査では、古墳時代前期の土壙や、近世以降の建物跡や土壙などが発見された。
建物跡は、礎石の上に柱を立てた礎石立建物跡で、向きを揃えて並んで2棟検出された。第1号建物跡は、礎石基礎の配置から側柱建物と考えられ、第2号建物跡は縁をもつ側柱建物と考えられる。2棟の建物跡の礎石基礎の掘り方は方形で、河原石とローム土を入れて突き固められていた。これは、建物全体の重さを支えるための地業の跡とも考えられる。出土した遺物の分析から、建物跡は、19世紀後半期、幕末から明治にかけて機能していたと推定される。出土遺物には、茶碗や皿、急須、土瓶などの食器類、瓦燈や灯火皿、秉燭といった照明器具、ままごと道具やベーゴマ、泥面子などの玩具、香炉・溲瓶などの生活道具がある。幕末期の城下町の人々の暮らしを垣間見ることのできる貴重な資料となろう。