EXCAVATION RESULTS発掘成果
【401集】下田遺跡

市町村坂戸市
主な時代古墳・平安・中近世
発行年度2013
下田遺跡は、古墳時代前期・後期、平安時代から中・近世にわたる遺跡で、高麗川と越辺川により形成された広大な沖積低地内に立地し、現在は水田地帯となっている。
古墳時代前期には住居跡は1軒のみが検出され、後期になると集落が形成された。しかし、古墳時代末にはその集落は流路跡となり氾濫に襲われた。その流路跡の氾濫を鎮めるため、流路跡の南岸のテラス部に土器をならべ、河川祭祀が行われたと考えられる。集落はそれ以降平安時代後半まで形成されなかった。
平安時代の水田跡は、南北方向に延びる畦畔を検出し、東西方向の長地型の条里地割であることが確認された。従来、入西条里は葛川より西に限るとされていたが、平安時代に下田遺跡を含む葛川の東にまで拡がっていたことが新たな発見となった。
また、奈良時代末に入間郡の大伴部直赤男が下田遺跡と高麗川を隔てた対岸の地域を寺院に寄進した。その地が寄進した地域にあたる可能性があり、入西条里や下田遺跡を含む水田開発に、大伴部直氏が関与したことは大いに考えられる。