EXCAVATION RESULTS発掘成果

【404集】天神台東遺跡

天神台東遺跡

市町村鳩山町

主な時代縄文・弥生・奈良・平安・中近世

発行年度2013

天神台東遺跡は、越辺川沿いに形成された河岸段丘上に立地する縄文時代から中世の複合遺跡である。今回の調査では、越辺川の度重なる氾濫によって縄文時代の遺構が1mほどの土砂に完全に埋もれた後、弥生時代、奈良・平安時代、中世の集落跡が営まれたことが明らかになった。
縄文時代では、2度にわたる建て替えにより、最終的に大きさが10mを超える前期(黒浜式期)の大型住居跡が発見された。弥生時代では、丘陵部周辺に点在する後期の小規模集落の様相が明らかにされ、櫛描波状文や簾状文を特徴とする岩鼻式土器古段階の良好な資料が出土した。
奈良・平安時代では、南比企丘陵に展開する窯業生産と密接な関連をもった古代集落の実態が判明した。住居跡からは南比企産の須恵器や円面硯などが出土し、8世紀中頃から9世紀後半にわたって継続的に集落が形成されていた。さらに、中世では遺跡の西側で、越辺川を渡河する鎌倉街道上道が南北に走ることから、陸の道と川の道の交わる交通の要衝として、川沿いに展開する中世集落の一端が窺われた。4基発見された井戸跡には、石組や木組の施設が良く残り、当時の井戸の構造を具体的に知ることができる。中でも、石組の井戸は堅固に石を積み上げ、底には水溜めとして曲物が置かれ、約700年たった今でも当時のままの姿を見せていた。

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