EXCAVATION RESULTS発掘成果
【410集】諏訪野遺跡Ⅰ
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市町村桶川市
主な時代縄文・近世
発行年度2014
諏訪野遺跡は桶川市西部の大宮台地内陸部に所在し、荒川支流である江川谷奥の低湿地をのぞむ台地縁辺に位置している。
遺跡は台地部と低地部からなり、台地部からは縄文時代と近世の集落跡、低地部からは縄文時代の遺物包含層が発見された。縄文時代の集落跡からは前期から後期までの遺構・遺物が出土したが、中期のものが特に多く、その配置は直径約180mの環状集落となっていた。
中期の竪穴住居跡は同時期の他の遺跡と比較しても残存状態が良好であり、深さが1m近いものもあった。平面形は円形や隅丸長方形で、床面中央のやや奥壁寄りに炉跡を持ち、前面に出入り口施設を持っていた。また、柱穴の配置は主軸線を挟んで左右に2本づつが対置された4本柱のものが多くみられた。住居跡の時期は中期中葉から後葉への移行期に集中しており、極めて短期間に栄えた集落であることがわかった。
縄文時代の土壙は多くが墓壙であったと考えられ、住居跡群の間隙に散漫に分布していた。集石土壙は2基発見されたが、うち1基は住居跡の炉跡を再利用してつくられていた。ピットは環状集落の中央広場縁辺に集中していた。
近世の遺構群は台地奥部に集中しており、ヤドロと呼ばれる河成堆積物が荒川の河川敷から持ち込まれた近世の農地開発に前後して残されたものと考えられる。