EXCAVATION RESULTS発掘成果

【427集】高木稲荷前/高木氷川

高木稲荷前/高木氷川

市町村さいたま市

主な時代縄文・古墳・近世

発行年度2016

高木稲荷前遺跡と高木氷川遺跡は、荒川の支流のひとつである滝沼川と中釘川に挟まれた南北に細長い台地上に所在する縄文時代中・後期を中心とした集落跡である。
高木稲荷前遺跡は、滝沼川の沖積低地を見下ろす台地先端部に立地し、縄文時代後期初頭の柄鏡形住居跡2軒と古墳時代後期終末の住居跡2軒が発見されている。周辺には、大木戸遺跡や西大宮バイパス№5遺跡、高木道下遺跡などの縄文時代後期前半の集落跡が分布しており、大宮台地西縁部における集落動態を検討するうえで貴重な成果を得ることができた。古墳時代後期終末の住居跡は7世紀中葉の土器群が出土しており、この時期において、台地内陸部へ新たな可耕地を開発するために小規模集落が進出していたことが明らかになった。
高木氷川遺跡は、中釘川の谷奥に展開する縄文時代中期後半を中心とした集落跡である。今回の調査では、縄文時代中期後半の加曽利EⅢ式期の住居跡4軒と土壙3基が発見された。住居跡からは土器や石器がまとまって出土した。石器のうち、群馬県下仁田町周辺から産出したと推定されるヒスイ輝石岩で製作された磨製石斧は、当時の遠隔地と
の交流を物語る貴重な資料として注目される。

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