EXCAVATION RESULTS発掘成果

【444集】大木戸遺跡Ⅲ

大木戸遺跡Ⅲ

市町村さいたま市

主な時代縄文

発行年度2018

大木戸遺跡第18・20次調査区は、台地上の縄文時代後期前葉から中葉にかけての集落下に広がる滝沼川によって形成された低湿地遺跡であり、調査区からは同時期の多量な土器群及び木製品類が出土した。時期がほぼ堀之内2式から加曽利B2式までに限定された木製品は器種も多様であり、中でも漆器類は注目に値するものがある。木製品は赤漆塗りの耳栓、櫛、腕輪状木製品などの装身具と、細い糸紐で装飾された飾弓や丸木弓、石斧の柄や未製品、丸木舟、櫂等の道具類、赤漆が塗られた漆器類、籃胎漆器、杓子や舟形容器などの容器類が多数出土している。中でも飾弓の精緻な装飾文様や文様が彫刻された大形の脚が付く脚付漆容器は初見であり、当時の工芸技術の高さを物語っている。各種の自然科学分析を行った結果、台地上に集落があったころは低地部に砂層の堆積するような流水があったようであるが、やがて流下物の堆積と共に滞水が始まり、浅い湖沼地と化して藻などが繁茂する環境へと変化すると、集落は終焉を迎える。住環境の変化とともに、他の地へ移動していったものと推測される。

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