EXCAVATION RESULTS発掘成果
【453集】北島遺跡ⅩⅤ

市町村熊谷市
主な時代古墳・平安・中近世
発行年度2019
北島遺跡は、利根川と荒川に挟まれた熊谷扇状地の扇端部に形成された自然堤防上に立地する。調査では、古墳時代前期から平安時代の集落跡が検出された。主体は古墳時代後期から平安時代である。高い微高地上は居住域に選択され、住居跡が激しく重複して造られていた。その周囲は畠や溝跡が掘られ、僅かな高低差を巧みに利用した当時の土地利用状況が明らかになった。
平安時代の墓跡が4基発見された。円形の区画溝を周囲に巡らせた木棺墓(円形区画墓)と蔵骨器に収められた火葬墓、土壙墓の3種類の埋葬施設が認められた。円形区画墓は豊富な副葬品が伴出した。蔵骨器は土師器甕(武蔵型甕)を逆位に埋置し、中に火葬骨を収めたものである。土壙墓は蓆の上に遺体を据えたもので、棺や副葬品は伴わなかった。円形区画墓は現在のところ類例が見当たらず、注目される埋葬形態である。当時の社会の階層性を反映した墓制と思われる。