EXCAVATION RESULTS発掘成果
【469集】沢口遺跡

市町村深谷市
主な時代縄文・中近世
発行年度2021
沢口遺跡は、荒川左岸に広がる櫛挽台地南縁に位置する縄文時代中期後半を中心とする集落跡である。これまでの発掘調査の成果から、水利に乏しい扇状地性台地ではあるが、東西方向に微高地が発達し、埋没谷に沿って小規模な集落が点在する景観が復元されている。今回の調査でも、浅い埋没谷を中心に広がる縄文時代中期末葉の加曽EⅢ式期を主体とする遺物包含層や、それを取り巻く周辺の斜面地から埋甕炉をもつ住居跡、土壙、ピットなどが検出され、縄文土器や石器が出土した。
新たに今回の調査地点では、中世前半期に造営された、溝跡によって囲まれた一辺約80mの範囲の中に、2間×7間の廂付き大型掘立柱建物跡を主屋とする4棟の建物群と、井戸跡や土壙などから構成される屋敷跡の一部が検出された。荒川対岸の「畠山」は、武蔵武士の鑑とも称される畠山重忠の本拠であり、周辺地域における中世史を考えていく上で、貴重な知見を得ることができた。