EXCAVATION RESULTS発掘成果

【470集】油面遺跡

油面遺跡

市町村嵐山町

主な時代縄文・古代・中近世

発行年度2021

油面遺跡は、関越自動車道嵐山小川ICから北東へ約0.8kmの嵐山花見台工業団地南東端に隣接する比企郡嵐山町字勝田地内に所在する。遺跡は、比企丘陵内、馬の背状の尾根上に立地し、わずかな平場に主に縄文時代・平安時代の遺構が点在していた。
縄文時代では、住居跡が4軒確認された。住居跡内からの出土遺物は微量であったものの、住居跡の位置する平場下の斜面から検出された縄文時代の遺物は、縄文時代前期後葉諸磯式期が主体であった。このことから、住居跡も諸磯式期に属するものと考えられる。また、出土した土器片には、早期~中期までの土器片が含まれており、遺構は検出されなかったものの当該時期にも土地利用がなされていたことがうかがえる。
古代では、9世紀後半の住居跡1軒・炭焼窯跡1基が確認された。住居跡からは、土製・石製の紡錘車や袋状鉄斧が出土した。袋状鉄斧は遺構外からもう1点出土しており、注目される。
炭焼窯跡は自然科学分析により平安時代中期から鎌倉時代初期の年代が得られた。遺跡周辺の丘陵には、時期不明の炭焼窯跡が多数確認されており、これらの時期を検討するうえで貴重な資料となった。

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