EXCAVATION RESULTS発掘成果
【471集】本田遺跡

市町村加須市
主な時代近世
発行年度2021
本田遺跡は利根川右岸の自然堤防上に立地し、現堤防裾まで100mと至近距離にある。発見された遺構は水塚盛土1基と、水塚上に造られた建物跡1棟、土壙1基、石垣5箇所・石階段3基、石列1条、排水管3基、水塚南側の一段下がった場所から蔵跡1棟と埋設桶2基である。水塚は見かけの高さは約1.9mである。利根川に面した北と西斜面の傾斜を急にすることで、氾濫に備えたと思われる。水塚上の第1号建物跡は、4間×2間半の身舎に東西と南に庇または下屋が取り付く。二階建ての可能性を持つ居住用施設と考えられる。身舎の隅柱と中間柱は凝灰岩切石を鉛直方向に据えた「蠟燭地業」を採用していた。石階段が3箇所設置され、建物南側の盛土下には第1号蔵跡が位置する。高さ約1m造成をした上に、基礎として凝灰岩切石を長方形に配した4間半×2間5尺規模の建物である。南北棟の建物で堅牢なつくりである。出土遺物から蔵跡は幕末から明治時代初頭頃(19世紀後半)、水塚盛土上の建物跡は19世紀末頃建築されたと推定される。何故、相対的に低い場所に蔵を建てたのか、蔵と水塚建物の建築時期に差が生じたのか現状では不明であるが、調査例の希少な水塚の実態を知ることのできる貴重な資料が得られた。