EXCAVATION RESULTS発掘成果
【479集】栗橋宿西本陣跡Ⅰ
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市町村久喜市
主な時代近世
発行年度2023
利根川右岸に立地する日光道中7番目の宿場「栗橋宿」の町屋跡である。19世紀前葉以降を中心とする第一面、18世紀中~後葉を中心とする第二、第三面に分けられる。
第一面では堅固な基礎構造を持つ建物跡群と、それらに並行する敷地境と考えられる溝跡、杭列等が検出された。第二、第三面では明確な区画施設が検出されず、19世紀前半に区画施設の整備が行われた可能性が伺われた。
検出された土壙には、火災に関わる廃棄物を処理したものがみられ、資料にみえる文政五年の栗橋宿大火と推定され、火災の広がりを明らかにするとともに、栗橋宿の変遷を考える上での定点資料と位置付けられる。
遺物は少量の中国産磁器のほか、国産陶磁器が多量に出土し、組物も多く検出された。土器類では江戸で出土する製品とは異なる在地の製品が多く認められた。土壙を中心に出土した多種多様な一括遺物は、近世における地方宿場町の実態を示す良好な資料に位置づけられる。